100年近く前、台湾中部の文人たちは中央書局に集い、人々を文化と知識に導き、全世界に触れようとした。そこには文人たちのロマンが息づいていた。その中央書局がこのほど復活。「浪漫的力量-台湾文化的青春年代」(台湾の文化的青春時代)特別展でロマンの力に敬意を払っている。
日本統治時代の1927年。文化豊かな国とより公平で正義ある社会を夢見た大勢の熱血青年と文化の闘士らは「中央倶楽部」の設立を提唱し、人々から資金を集めて中央書局株式会社を創設した。中央書局として知られる現在の建物は1945年に建設が始まり、1948年に正式に開店。その後1998年に廃業していたが、3年間の修復工事を経た今月18日、全く新たな姿で再びオープンした。
この建物は財団法人信誼基金会の寄付を基に設立された財団法人上善人文基金会が2016年に買い取って修復計画を進めてきた。信誼基金会の董事長(理事長)で、新たな中央書局の代表となった張杏如さんは、「台湾文化的青春年代」特別展を企画する中で台湾の歴史に対する自分の理解が「子どもレベル」に過ぎないことを知ったとし、「この展示会を通じて若者たちが台湾の歴史をもう一度復習できるようにしたい」と話している。
この特別展では「浪潮」(時代の波)と「繁星」(スターたち)の2つのコーナーが中心となっている。展示は日本統治時代の中で台湾に影響をもたらした文芸運動からスタート。文学、美術、音楽の分野から当時の台湾中部における重要な人物を選び、そのプロフィールと作品の画像を壁面に展示して紹介している。ここからは明治維新や大正ロマンの時代的脈路、ならびに日本統治時代の台湾における文芸の姿を知ることが出来るという。
また、中央書局にとって大変重要な人物4人も紹介している。それは「台湾議会の父」と呼ばれた台中市霧峰の林献堂氏をはじめとする知識分子4人で、林氏のほか、文化人で社会運動家でもあった荘垂勝氏、「南音」雑誌の創設者の1人でその後は歴史の記録に努めた葉栄鐘氏、「台湾文化のオアシス」と呼ばれ、芸術家たちを力強く支え続けた張星建氏。これらの人たちは時代の波の中で当時の中央書局という舞台で実践することの力を示していたのである。
「浪漫的力量-台湾文化的青春年代」特別展は来年1月18日まで、中央書局(台中市中区台湾大道一段235号)で開かれている。